複勝・ワイド・二連で堅実に回収率100%を超える方法はあるか
「3連単は博打だけど、複勝やワイドなら堅実に勝てるのでは?」——初心者が一度は考える仮説を、約2年・全券種の払戻データで検証しました。全通り買いの回収率(=テラ銭の実測)と、1番人気だけを買い続けた場合の成績を、券種ごとに並べます。
結論(先に)
答えは「ない」。全通り買いの回収率は全券種60.0〜78.2%に収まり、1番人気1点買いでも最高77.4%(3連単)まで。券種で変わるのは「当たりやすさと配当の振れ幅」であって期待値ではなく、どの券種にも控除率の壁がそのまま立っています。堅実さを求めるなら券種選びではなく、「買うレースを選ぶ(見送る)」側にしか調整余地はありません。
実測データ:券種ごとの「テラ銭の壁」
約2年・全賭式の払戻データから、券種別に「全通り買い」の回収率を実測しました。全通り買いは的中率100%——つまり回収率がそのまま「控除率を引かれた後に返ってくる割合」を示します——
券種別・全通り買いの回収率(実測)
どの券種も100%を大きく下回る=控除率(テラ銭)の壁。
| 券種 | 組合せ数(6艇) | 全通り買いの回収率 | 的中1本の配当中央値 | レース数 |
|---|---|---|---|---|
| 複勝 | 6点 | 78.2% | 150円 | 134,148R |
| 単勝 | 6点 | 68.0% | 200円 | 134,500R |
| 2連複 | 15点 | 61.5% | 450円 | 134,465R |
| 2連単 | 30点 | 60.6% | 750円 | 134,502R |
| 3連複 | 20点 | 60.9% | 630円 | 134,318R |
| 3連単 | 120点 | 60.0% | 2,540円 | 134,445R |
全通り買い=その券種の全組合せを100円ずつ買い続けた場合。回収率は 払戻合計÷購入額 の実測。
全通り買いの回収率は60.0〜78.2%の帯に収まり、100%以上の券種はありません。これは偶然ではなく、公営競技の控除率(ボートレースは約25%)が券種を問わず売上から先に引かれる構造だからです。「どの券種を選ぶか」では、この壁は越えられません。
では「堅実」の代表・1番人気だけ買い続けたら?
| 券種 | 1番人気の的中率 | 1番人気1点買いの回収率 | レース数 |
|---|---|---|---|
| 2連複 | 32.8% | 75.7% | 134,465R |
| 2連単 | 24.1% | 75.5% | 134,502R |
| 3連複 | 26.1% | 76.7% | 134,318R |
| 3連単 | 10.7% | 77.4% | 134,445R |
毎レース、その券種の1番人気だけを100円買い続けた場合の実測。
1番人気1点買いの回収率が最も高い券種でも3連単の77.4%で、100%超えはゼロ。的中率は2連複の32.8%から3連単の10.7%まで大きく違いますが、的中率が上がるほど1本あたりの配当が薄くなり、回収率はどの券種も同じ壁の内側に収束する——これがデータの答えです。(複勝、単勝は公式データに人気順位が付かないため、1番人気分析の対象外としました。)
ワイドはどうなのか
ワイド(拡連複)は的中が1レースに3組あるのに、当サイトの集計データには1着-2着ペアの1組しか残っていないため、全通り回収率は誠実には計算できません(できない集計はやらない主義です)。代わりに、計算できる比較を——
| 同じ1着-2着ペアを当てたとき | 配当中央値 | サンプル |
|---|---|---|
| ワイド(拡連複) | 190円 | 134,336R |
| 2連複 | 450円 | 134,336R |
同一レースで、1着と2着のペアをワイド・2連複それぞれで持っていた場合の払戻(100円あたり)。
同じ「1着と2着のペア」を当てても、ワイドの配当中央値は190円と、2連複(450円)より大幅に薄くなります(レースごとの比の中央値で約0.43倍)。ワイドは「2着以内に2艇」が条件なので当たりやすいぶん、同じ的中でも戻りが小さい——控除率は券種共通なので、ここでもトレードオフの形が変わるだけです。
「複勝でコツコツ」が難しい理由
複勝は的中率が高く、心理的にはいちばん「堅実」に見えます。しかし配当中央値(上の表)を見れば分かるとおり、複勝の的中は1本あたりの戻りが小さく、外れた分を取り返す力がありません。「よく当たる」と「増える」は別物——的中率は精神の安定には効きますが、回収率には効かないのです。
初心者向け解説:券種はリスクの調整ツール
券種選びで変えられるのは「当たりやすさと配当の振れ幅(分散)」であって、「期待値」ではありません。資金が少ないうちは複勝・ワイドで当たる感覚と観戦の楽しさを覚え、レースを読む力がついてきたら2連・3連で「ここぞ」だけ厚く——という使い分けが、同じ期待値の中で楽しみ方を最適化する現実的な答えです。
実践:どう買いに活かすか
①「複勝なら安全」という思い込みを捨てる(安全なのは変動幅だけ)。②少額で楽しむ日は複勝・ワイド、勝負する日は2連・3連と、目的で券種を使い分ける。③回収率を良くしたいなら、券種を変えるのではなく「分の悪いレースを買わない」こと。当サイトの予想が一部レースを見送るのも同じ理屈です。
注意点
- 組合せ点数は6艇立てで計算しています。欠場等で出走が減ったレースでは実際の点数が少なくなるため、全通り回収率はわずかに低めに出る近似です。
- ワイド(拡連複)は集計データに1着-2着ペアの払戻しか記録されていないため、全通り回収率・1番人気の表からは除外し、算出できる比較のみ掲載しています。
- 返還(フライング等による払戻)は集計に含みません。
- 「1番人気」は結果データに記録された人気順位で、購入タイミングのオッズ変動は反映していません。
- 過去データの実測であり、将来の回収率を保証するものではありません。
関連ページ
本コラムは公式公開データを当サイトで集計・分析したもので、将来の的中や利益を保証するものではありません。舟券の購入は20歳以上・自己責任で、無理のない範囲でお楽しみください。
データ出典: BOAT RACE オフィシャルの公開データを当サイトで集計(集計期間 2024-03-01〜2026-08-06 / 全券種の払戻 940,526行(134,502レース)の実測)。「コース」は進入後の実コース(枠=艇番とは区別)。