スタート展示と本番STの乖離率——展示を見る意味はあるのか
直前情報のスタート展示。ここでのSTを見て「この艇は行く気だ」と判断する人は多いはずです。でもスタート展示はフライングしても罰則が無い練習スタートで、実測では21.3%がFになっています。約2年・816,633艇分で、展示STが本番をどれだけ言い当てるかを測りました。
結論(先に)
展示ST帯による本番平均STの差は0.022秒あり、帯の順番と本番STはきれいには対応しませんでした。レース内で展示ST最速だった艇が本番でも最速である割合は21.5%にとどまり、本番STの予測値としては弱い指標です。ところが1着率で見ると、展示STが最も遅い帯は11.1%、最も高い帯は17.6%で6.5ptの差がつきます。展示STは『何秒で出るか』ではなく『その艇が仕上がっているか』を映す指標として使うのが正解です。
まず前提:展示のスタートは「本気」ではない
スタート展示は本番前の練習スタートで、フライングしても罰則がありません。実測でも展示STの21.3%がF(早すぎて戻された)でした。本番のF率とは比べものにならない高さです。つまり選手は展示で思い切って突っ込み、モーターの出方を確かめています。
この前提のうえで、「展示のSTは本番の予測に使えるのか」を確かめます。
実測データ:展示が早い艇は本番も早いか
| スタート展示のST | 本番の平均ST | 1着率 | 本番でF | サンプル |
|---|---|---|---|---|
| F(早すぎ) | 0.161 | 17.6% | 0.38% | 173,907艇 |
| 0.00〜0.10 | 0.160 | 17.6% | 0.34% | 313,629艇 |
| 0.10〜0.15 | 0.164 | 16.6% | 0.37% | 128,709艇 |
| 0.15〜0.20 | 0.164 | 15.8% | 0.48% | 95,005艇 |
| 0.20〜0.30 | 0.169 | 14.2% | 0.51% | 78,371艇 |
| 0.30〜(遅い) | 0.182 | 11.1% | 0.54% | 27,012艇 |
展示STは小さいほど早い。Fは「早すぎて戻された」=マイナス側。
スタート展示のST帯別・本番の平均ST(小さいほど早い)
展示が早い艇は本番も早いのか、を見る図。
展示ST帯による本番平均STの差は0.022秒。帯の順番と本番STはきれいには対応していません。展示でFにならなかった艇だけで見ると、本番STは展示STより平均0.046秒遅くなります。本番は罰則があるぶん、慎重になるということです。
ただし「勝てるかどうか」で見ると話が変わる
本番STの予測という意味では弱い指標でした。しかし同じ表の1着率の列を見てください。
展示STが最も遅い「0.30〜(遅い)」の1着率は11.1%で、最も高い「F(早すぎ)」の17.6%との差は6.5pt。しかも帯が遅くなるほどきれいに下がっていきます。
展示STは『本番で何秒で出るか』は当てられないのに、『そのレースで勝てるかどうか』はかなり当てている——これが実測の姿です。展示で明らかに遅れている艇は、スタート勘だけでなく機力や仕上がりそのものに問題を抱えていることが多く、それが着順に出ていると考えられます。
展示でFだった艇は、本番どうなるのか
いちばん知りたいのはここです。展示で突っ込んだ艇は本番でも攻めるのか、それとも慎重になるのか。
| スタート展示 | 本番の平均ST | 本番でフライングした割合 | サンプル |
|---|---|---|---|
| Fになった(早すぎ) | 0.161 | 0.38% | 173,907艇 |
| Fにならなかった | 0.163 | 0.40% | 642,726艇 |
展示のFは記録に残らず罰則も無い。本番でどうなるかを見る。
展示でFだった艇の本番平均STは0.161、Fでなかった艇は0.163——差は0.002秒で、展示で突っ込んだ艇は本番でも早いという結果でした。そして本番でフライングする割合は0.38% 対 0.40%で、0.02ptの差。展示でFを出したからといって、本番のFが目立って増えるわけではありません。展示と本番は選手の中でしっかり切り替えられている、ということです。
順位として見るとどうか
レースの中で展示STが最も早かった艇が、本番でも最も早かった割合は21.5%でした(対象122,409レース)。6艇なので当てずっぽうなら約16.7%——それよりは明確に高いものの、3回に2回は入れ替わる、という水準です。
初心者向け解説:展示STはどこを見るか
スタート展示は、進入隊形と各艇のスタートのタイミングを見せる場です。ここで分かるのは主に進入(誰がどのコースに入るか)で、STそのものは本番と条件が違います(罰則が無い・展示は1回きり)。実測でも順位の一致は限定的でした。展示のSTは『その艇が攻める気があるか』の材料として見るのが妥当で、本番STの予測値としてそのまま使うには弱い、というのが数字の答えです。
実践:どう買いに活かすか
スタート展示で最優先で見るべきは進入隊形(誰が前づけするか)で、STは補助です。展示で明らかに突っ込んでいる艇は『スタートで勝負するつもり』と読めますが、その艇が本番でも最速とは限りません(実測で一致は限定的)。本番STの実力を見るなら、展示ではなく平均ST(No.08)の方が確実です。
注意点
- 本番でフライング・出遅れになった艇は本番STが記録されないため、平均STの計算からは除外しています(F率の集計には含めています)。
- スタート展示は罰則が無く、本番とは条件が異なります。同じ土俵の比較ではないことを前提に読んでください。
- 展示STは直前情報にのみ掲載され、当サイトでは締切前に取得したデータを集計しています。
- 帯の区切りは分析用の便宜的なもので、公式の分類ではありません。
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データ出典: BOAT RACE オフィシャルの公開データを当サイトで集計(集計期間 2024-03-01〜2026-08-23 / 展示STつき 816,633艇分の実測(直前情報より))。「コース」は進入後の実コース(枠=艇番とは区別)。
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